突然ながら、こんな嵐のような幕開けを迎えたロンドン生活。
あっという間に、いや、ようやく? まだ2週間ほどしか経っていない。
そうそう、ここで正直に言おう。
英語が、全然わからない。
大学を辞めてまで飛び出してきたものの、
現地の人が話すネイティブ英語は、日本で勉強した「教科書英語」とはまるで別物だった。
あのゴニョゴニョっとしたスピードと訛り、単語の省略…
“Listen and repeat”で覚えた英語なんて一瞬で吹き飛ぶ。
そんなある日のこと。
滞在先のEarls Court駅前にあるバーガーキングへ行った。
これが初めてのロンドン外食(というか外テイクアウト?)である。
ビビりまくってたので、もちろん“持ち帰り一択”。
「注文して、受け取って、持ち帰る」——
日本と同じ手順だし、ここは安心だと思っていた。
が、しかし。
店員のお姉さんが軽やかに放った一言。
“Eat in or take away?”
……え? い、今なんて?
頭の中でぐるぐると再生するが、どうにも意味が取れない。
「イートイン」なんて日本でも言わないし、
“持ち帰り”は“テイクアウト”だと思っていた20歳の僕には、
**“テイクアウェイ”**なんて未知の呪文のように聞こえた。
一瞬、固まる。
目の前には焦る日本人、そしてちょっと不思議そうな店員。
なんとか「Ah…take…away!」と口から出た瞬間、
お姉さんがにっこり笑って袋を渡してくれた。
あの時のあの笑顔と、変に汗ばんだ手の感触は、今でも忘れられない。
そう、たとえ教科書を何冊読んでも、
**“生きた英語”**の洗礼は、バーガーキングのカウンターで始まるのだ。
